上顎の奥歯部分(特に上顎洞=じょうがくどうの近く)の骨が薄くなっている場合に行われる骨造成手術の一つです。インプラント治療を安全に行うために、骨の高さが足りないケースで骨を増やす目的で実施されます。インプラントを埋入する穴から専用の器具で上顎洞の粘膜(シュナイダー膜)を押し上げ、そのスペースに骨補填材を充填し、同時にインプラント体を埋入する方法です。
特徴・メリット
- 低侵襲:歯肉を大きく切開せず、インプラント埋入用の穴からアプローチするため、患者さんの身体的負担が少ないです。
- 治療期間が短い:インプラント埋入と骨造成を同時に行えるため、治療期間が短縮されます。
- 感染リスクが低い:傷口が小さいため、術後の感染リスクや腫れ・痛みも比較的少ない傾向です。
- 高齢者や持病のある方にも適応しやすい:身体への負担が少ないため、幅広い患者層に適応可能です。
適応症例・条件
- 上顎の骨の厚みが約5mm以上ある場合に適応されます。
- 骨の厚みが3~5mm以下や、広範囲に骨が不足している場合は「サイナスリフト」という別の方法が選択されることが多いです。
- 一般的に1本~数本のインプラントを埋入する比較的小範囲の骨造成に向いています。
デメリット・注意点
- 高度な技術が必要:シュナイダー膜を傷つけずに持ち上げる必要があり、術者の経験や技術力が成功率に大きく影響します。
- 骨の厚みが極端に少ない場合は不適応:骨が3mm未満の場合や、上顎洞の形態が特殊な場合は適応外となることがあります。
- 術後の腫れや痛み:低侵襲とはいえ、術後に腫れや痛みが出ることもあります。
- 上顎洞炎などのリスク:まれに上顎洞炎や副鼻腔炎などの合併症が起こることがあります


