CTを撮らせていただくと、思いがけないものが映ることが多々ある。特に上顎の6番ではある。この歯に根尖病巣があると、歯の症状はなくとも鼻に症状が出ることがおおく、鼻炎が引かないとかの、上顎洞炎の原因となる(歯性上顎洞炎)。この場合、抗生剤も一時的なもので、あまり効果もないことが多く、原因が歯の場合は原因歯の治療が一番効果だとおもわれます。(原因を叩かずして治るはずがない)
しかしながらこのあたりの治療は診断から治療まですべてが困難です。
- 診断の困難さ。一般にパノラマとかデンタルとか言われるx線では歯性上顎洞炎と一般的な副鼻腔炎の鑑別はかなり困難であるとおもいます。そこでCTで根尖部を詳細に精査して判断します。逆にいうと歯科用CTでの原因歯の撮影が必須です。
- 治療の困難さ 簡単な治療でなおればいいのですが、抜歯せずに治療するのはかなり困難です。言い換えるなら、根管治療がかなり難しいのです、特に上顎6番の近心頬側第2根管は歯科用マイクロスコープがあっても困難です。ここも逆説的にいうならマイクロスコープがなければ、絶対無理といえます。
- 上顎6番の近心頬側第2根管は統計的には約60%の確率で存在するそうですが、なんせ細くて、0.08mmの器具を挿入するのも大変です。>>根気が必要です。これについてはEr-YAGレーザーによる歯質の蒸散が適しているような気がしますが、まだ、未検討でレーザー自体がかなり高価です。

で術前の歯の様子がこれ(下段左)と、向かって右のほうのガッターパーチャーを除去していきます。大体CTで深さもわかるのでどんどん除去です。下段中央の写真は治療2日目の写真です、向かって右に何やら光るものが見えます(青矢印)、見えてしまえば後はなんとかなりますね、確認のレントゲンをとって、あとは後日もっとお掃除をして(たぶん根管は曲がっているのでかなりきちんとお掃除が必要なのですが)と思ったら痛みが止まったのかこの後来院していただけません、このあとの、清掃と拡大、根管充填がより大切なんですが、このまま、放置ではより悪くなります。文字どおり苦労がそのまま無駄になりました。あ~しかしこんなに深い場所にあり、かつ下顎の7番なのでかなり困難症例なんだが、ここまでやらせてほっとくというのは、、、複雑な気分です。




で根管治療中、口蓋根には病巣がなかったことと、患者さんが大枚をはたいてクラウンを入れていて、また使いたそうだったので、口蓋のメタルコアは外してません。頬側第二根管を見つけて、ここを拡大、洗浄してお薬いれて症状が引くのをまちます。CTでみても、シュナイダー膜の肥厚が取れてますし、患者さんも症状が引いたとのことでした。遠心根は前医の先生がやや、拡大しすぎていたようなので、MTAで根充して終了です! 。症状もとれて、患者さんも満足していただきました。僕もこのような困難症例がきちんとなおせて自分のスキルアップを確認できた症例でした。![インターステラー <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(3枚組) [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51hjLzRB3hL._SL160_.jpg)

MTAとは mineral trioxide aggregate の略であり、今現在では最も根管治療等に使用した場合に予後がいいと思われる、大変すばらしい材料です。








コンポジットレジンも保険のものでもいいものがあり、2〜3色使用し、形態を整えます。

